温泉・地下大浴場
地下2〜3階地域の源泉を活用し、療養泉(治療に有効な成分を含む温泉)を普段の暮らしの中に置く設計。温泉分析書(温泉法施行規則第10条)を確認して体調に合わせて入浴します。洗い場は1日最大45,576名の容量を確保し、男女で地下2階・3階を分けて動線を効率化。混雑状況は給湯装置の使用状況からリアルタイムで案内します。
出典 253〜255p
Kouna Hime Inc. · 『2050年までに実現したい政策』特設
2019年の著書『2050年までに実現したい政策』は、人口が減っても誰もが最高水準で働き・学び・暮らせるように、まちの機能を一棟の建物に統合する「公共施設の総合化」を提案しました。このページは、著書 244〜295頁「新しい暮らし方 公共施設の設計」の章を、原典の数字のまま引用整理した特設紹介です。
それでは、一つずつ紹介して参りましょう。未来の施設へようこそ。『2050年までに実現したい政策』252p
著書252頁に掲げられた4か条を、原文のまま引用します。
2050年の総人口ではなく「2050年生まれの52.7万人 × 寿命87年 = 約4,576万人」から逆算する。著書は2,000万〜5,000万人でも成り立つ社会設計を前提に置き、人口密度に依存しない公共インフラを求めました。(245〜249p)
労働時間を現在の半分にする時間政策とセットの構想。通勤・通学をゼロに近づけ、家事・買い物を施設が引き受けることで、1日あたり最大3時間47分を捻出します。職住学一体はそのための建築的な答えです。(249〜250p)
確実にエネルギーがゼロになる交通手段は徒歩。暮らしを徒歩10分圏に収め、熱と電気は地域エネルギーセンターでまとめて供給します。余った建物の床面積を空調し続ける非効率も、総合化で解消します。(246〜248p)
高齢者でも歩ける徒歩10分圏(半径800m・約2.01k㎡)に、昼間人口密度1万人/k㎡——著書はこれを「高度人口集中地区」と名づけ、公共施設が中核となって徒歩圏内に2万人以上が暮らす都市の単位を提案します。
可住地人口密度1万人/k㎡以上の自治体は全国でも15市区(特別区・大阪市・川崎市・武蔵野市など)に限られます。東京や大阪の中枢に準じた「賑わいの密度」を、大都市への集中ではなく、施設を核にした徒歩圏として全国2,500〜5,000箇所・海外主要都市200箇所に整備する構想です。(250〜252p)
著書252〜292頁の各設計節から、施設ごとの要点と数字を抜き出しました。数字はすべて原典の設計値です。
温泉を暮らしの真ん中に置き、食事・入浴・住まいの支度を施設が引き受けることで、家事にかかる時間を外部化します。
地域の源泉を活用し、療養泉(治療に有効な成分を含む温泉)を普段の暮らしの中に置く設計。温泉分析書(温泉法施行規則第10条)を確認して体調に合わせて入浴します。洗い場は1日最大45,576名の容量を確保し、男女で地下2階・3階を分けて動線を効率化。混雑状況は給湯装置の使用状況からリアルタイムで案内します。
出典 253〜255p
7階・8階にフロアごと男女別で設け、1日ごとの入れ替え制。洗い場から屋根のある浴槽に直接入り、天候に応じて屋根のない部分へ進めるようにして、乳幼児や高齢者の温度変化・転倒を防ぎます。直通エレベーターで男女が交錯せずに移動できます。
出典 255p・291p
7mの柱スパンを維持した温水プール。プール共用の低温・高温サウナと接続します。50Mプールより、利用頻度の多いビュッフェと温泉を優先した割り切りも著書に明記。リゾート機能を持つ屋上プールの設置も検討課題として挙げられています。
出典 256p
「全国どこでも最高水準の食事体験を」。地下1階の中央に厨房を集約し、トラック直送で食材を搬入。対面カウンターは料理分野ごとに配置し、ダイニングはタッチパネル注文・ロボット配膳。郷土料理・各国料理と地元産酒類を重視し、地域飲食店の調理人を集約してレシピ・店舗ブランド・食文化を維持拡大します。
出典 284p
ホテル利用可・家具備え付け・1日単位が基本。住生活基本計画の居住面積水準を満たします。部屋は研究・体験・業務・リラックス・地域・国際・趣味の7系統のコンセプトルームで、国内外の違う土地に住む予行演習やホームシック対策にも使う発想です。
出典 263p
宅配ロッカー・郵便受けを兼ね、ICカードの個人認証を鍵にします。大型スーツケースが入る寸法。更衣後はそのまま温泉・露天風呂・プールへ。パウダールームは男女各フロアに国内外主要メーカーの化粧品・ケア用品を揃えます。
出典 285〜286p
自ら学ぶ場所をコミュニティの中心に。図書館を建物の中央に据え、学校・スタジオ・アリーナが取り囲みます。
「自ら学ぶ場所をコミュニティの中心に置きたい」——図書館が施設の中央にある理由です。全面開架式で60万冊/フロア。日本十進分類法の全分類に棚を用意し、歩きながら図書館自体を百科事典のように使える配架を構想。蔵書数は大阪府立図書館(全国7位)級に相当します。
出典 259〜260p
公共組織法と新しい教育制度のもとでは「オフィスと学校の区別は無きに等しい」。A地区の施設にA小学校・A中学校・A大学がテナントとして入居するイメージです。固定クラス・学年・カリキュラムを廃し、オックスフォード型の少人数個別指導と、日本十進分類法ベースの共通試験(受験料無料・年齢国籍不問)で学びを支えます。
出典 264〜268p
クッキング・放送音楽・情報・映像・被服・工作・美術・文芸・トレーニングの9系統。専門学校・職業訓練施設・公民館の機能を統合し、作った料理はビュッフェへ、作った服は商品販売へ展開。コミュニティFMや地域メディアの中継局・公開スタジオの機能も担います。
出典 257〜258p
国体に活用できる水準で、概ね10〜30万人規模の中央体育館に相当。固定観客席2,000席(8〜9階)と可動席2,000席(6〜7階)を併用し、バスケ2面・バレー3面・バドミントン10〜12面を配置可能。コンサートや展示イベント、議場としての運用も考慮し、屋上テラスを観戦・屋台スペースとして開放します。
出典 258〜259p
所有する本や紙資料、利用頻度の低い資料を自動書庫に預けられます。共同実験室は教育研究施設の機能を含み、小学生から研究者までがシェアして利用。海外や国内の他の実験室とオンラインで同時運用できるよう通信環境を強化します。
出典 252〜253p
オフィス・病院・物流・エネルギーまで。人口密度に依存せず、どの地域でも最高水準の仕事と基盤を提供する層です。
フリーアドレスで、在席状況は電子掲示板とアプリでリアルタイム共有。海外に設置した公共施設と時差を活かして業務のバトンを渡す「ワークリレー」で24時間体制を組みます。各チームの成果物を紹介する展示スペースを設け、分野間のコラボレーションを促進します。
出典 278〜279p
受付の周囲にラウンジ(全体672名)を設け、雑誌や新聞、セルフのドリンクサービスを用意。オンライン窓口・コールセンターは中央部に配置します。玄関ゲートは建物の四隅に4カ所、自動改札機に準じたICカード個人認証で、災害時・イベント時の大人数の入出場にも対応します。
出典 280p
医療機能を地区拠点(500〜2,000人・かかりつけ)・地域拠点(2万人・二次医療圏)・地方拠点(交通60分圏・先進医療)の三段階に分けて整備。居住施設と一体化して「住みながら治療する」発想で病室の概念を撤廃し、浮いたコストを24時間シフトの人員確保に回します。地下ターミナルから直接搬送できる救急動線を確保。
出典 261〜262p
自動倉庫型ピッキングシステム(オートストア)で100万SKU超を収納し、大型モールに匹敵する品揃えを人口規模に関係なく実現。アプリから注文すると個人宅配ロッカーへ届きます。倉庫の一部を地域の企業や個人で共有し、名義変更だけで売買が済むフリーマーケットとしても使う構想です。
出典 287〜290p
2050年時点で全国合計1,800万㎡の地域分散型データセンターを整備し、国内データセンターのバックアップとして機能させます。SNSやクラウドが外国企業に委ねられている現状を踏まえ、全ての国民がデータ管理・利活用能力を持つための基盤と位置づけます。
出典 290〜291p
ガスエンジンコジェネレーション6台で熱と電気をまとめて供給する地域熱供給方式。総供給面積93万㎡は、六本木ヒルズ(六本木エネルギーサービス)の実績を上回る規模です。再生可能エネルギーの調整力と、災害時の業務継続(地域単位のエネルギー需給平準化)を兼ねます。
出典 283p
地下トラックターミナルで中心市街地の荷捌き負担とドライバーの労働時間を削減。路線バスは固定停留場でなく空きブースへ随時誘導し、正方形の車路を一方通行で循環させます。出入口は交差点を避けたアンダーパスとし、EV充電・水素スタンド・燃料ステーションを併設します。
出典 281〜282p
地上部分は歩行者交通に限定。好天の日は樹木とベンチ、カスケードや噴水のある庭園を通って入館し、悪天候の日は歩道のエレベーターから地下経由で直接入れます。夜間のライトアップと季節ごとの装飾で文化的な景観を確保します。
出典 292p
地上6階(一部9階)・地下3階。景観のため31m高さ制限(旧百尺規制)を守り、賑わいは地下と低層に集めます。まずは設計原図の断面図をご覧ください。
| 構造 | SRC 鉄骨鉄筋コンクリート構造(一部プレストレストコンクリート) |
|---|---|
| 階数 | 地上6階(一部9階)・地下3階 |
| 敷地面積 | 25,600〜41,800㎡(30m道路に1〜4面接道) |
| 建築面積 | 地上 10,000㎡ ・ 地下 48,400㎡ |
| 延床面積 | 合計 220,228㎡(屋上除く・地下1〜3階 各約48,000㎡) |
| 建物高さ | 地上高 39.0m ・ 地下深 15.0m — 31m高さ制限(旧百尺規制)を景観上重視し、隣接建物に冬至でも4時間以上の日照を確保 |
| 柱スパン | 基本 7m×7m(中央部 8m×8m・6階アリーナ 58m×58m) |
| 利用定員 | 合計 21,236名(オフィス9,600・図書館2,334・ビュッフェ2,554・ラウンジ2,076・アリーナ2,048 ほか) |
| 駐車台数 | 合計 248台(小型車乗降場24・大型車80・小型車144)+ ターミナル64台 |
国土交通省営繕部「新営予算単価」の鉄骨鉄筋コンクリート造単価をもとにした概算です。基本設計の倍を超えないかどうか、という水準感で1棟あたり1,186.2億円と見積もられています。(294p)
| 基本設計(新営予算単価 256,800円/㎡) | 606.4 億円 |
|---|---|
| 自動倉庫(オートストア) | 160〜639.5 億円 |
| 書籍 | 119.3 億円 |
| アリーナ | 100 億円 |
| 自家発電設備 | 54.4 億円 |
| データセンター | 33.4〜43 億円 |
| デスク端末 | 24.4 億円 |
| 温泉 | 20 億円 |
| 個人端末 | 15 億円 |
| エレベーター | 15 億円 |
| エスカレーター | 13.3 億円 |
| プール | 10 億円 |
| ロッカールーム | 10 億円 |
| ビュッフェ | 5 億円 |
| 合計(概算) | 1,186.2 億円 |
建物は耐用年数100年で設計し、建設国債で60年償還。建設業者の施工能力を考慮して、2050年頃から30年程度をかけて建設していく工程です。(295p)
固定資産税を平等に活用し、租税負担を資産課税へ転嫁。災害リスクの多い土地から金融資産・投資資本・人的投資へのシフトを促す——施設の集約はその布石でもあります。(295p)
継承施設・継承組織をリスト化し、市区町村別人口予測から必要施設数を割り出す。「Googleマップや地理院地図に図形を書いて面積をひたすら計算します」という手仕事も原典の一節です。(295p)
『2050年までに実現したい政策』こうな 著(2019年12月30日 初版・たぴたぴとりっぷ/旅鳥出版・全303頁)。本特設は第2章「新しい暮らし方 公共施設の設計」(244〜295頁)を引用整理したものです。
著書は「人が集まらなくても、制度が届かなくても、誰もが最高水準で働き・学び・暮らせる基盤を作る」という問いに、法律と建築で答えようとしたものでした。HIMEはいま、同じ問いにソフトウェアとAIで答え直しています。